エンコーダとラインセンサを使用して撮像し、
ステージの移動量に対して撮像画像が想定よりも縮んだ場合は、以下の原因が考えられます。
[原因1]:カメラがフリーランの場合[原因2]:Sampling Interval(間隔パルス設定)の設定値が大きすぎる場合[原因3]:ステージの搬送速度(エンコーダ信号の周波数)が速すぎる場合[原因4]:CC信号の周期が速すぎる場合[原因5]:露光時間が長すぎる場合(CC信号のパルス幅が長すぎる場合)※原因2以降については、AIPToolの設定項目を元に解説します。
[原因1]:カメラがフリーランの場合ラインセンサとエンコーダを使用する場合、一般的には以下の流れとなります。
[1ライン撮像までの流れ]
1 ステージ上の被写体が搬送され、エンコーダの軸が回転する。
2 エンコーダの回転により、エンコーダ信号(A/B/Z相)が出力される。
3 エンコーダ信号が、エンコーダケーブル、拡張ケーブルを通じてボードへ伝送。
4 ボードでエンコーダ信号を受け、その信号数が一定数に達するとCC信号をカメラへ出力。
5 カメラがCC信号を受け、1ライン撮像。
もし、カメラがフリーランの場合、ボードから出力されたCC信号が無視されますので
エンコーダ信号に同期せずに画像データ(LVAL)を出力してしまいます。
ボードの仕様上、カメラから出力された画像データは全て取得しますので、カメラのラインレートが遅い場合、想定よりも縮んだ撮像画像が取得されてしまいます。(逆にラインレートが早い場合は撮像画像が伸びます)
その場合は、カメラの露光モード設定をCC信号に同期して画像データを出力するランダムシャッタモード(※)に変更してください。
※カメラによって機能名が異なります。また、機能の詳細はカメラのマニュアルかカメラメーカーにご確認ください。
[原因2]:Sampling Interval(間隔パルス設定)の設定値が大きすぎる場合ステージの搬送速度(エンコーダ信号の周波数)が一定の場合、
Sampling Intervalの設定値が大きければ大きいほど撮像に対する分解能が下がります。
つまり、Sampling Intervalの設定値を大きくすればする程、撮像画像が縮みます。
[原因3]:ステージの搬送速度(エンコーダ信号の周波数)が速すぎる場合
エンコーダ設定が有効か無効かでCycleの設定値の意味が以下のように異なります。
・エンコーダ設定が無効の場合のCycle設定について
Cycleの設定値でCC信号が出力されます。
・エンコーダ設定が有効の場合のCycle設定について
Cycleで設定した時間中にAIPTool上のSampling Point(一致パルス)が複数回発生した場合、
2回目以降のSampling Pointは無視されCC信号が発生しません。
ステージの搬送速度が速くなると、ボードに入力されるエンコーダ信号の周波数も上がるため、Sampling Pointの発生間隔も短くなります。
このとき、Cycleで設定した時間中にSampling Pointが2回以上発生してしまうと、上記にもあるようにCC信号が発生しないタイミングが発生してしまうため、カメラから出力される画像データが少なくなり、結果として撮像画像が縮みます。
以下にAIPTool上での具体例を示します。
例:設定値は以下とします。
Cycle:200usec
Sampling Point :100usec(Encoder Frequency : 10kHz / Sampling Interval : 4)
このとき、200usec中にSampling Pointが最大3回発生するため、2回目と3回目のSampling Pointがボード上で無視されます。
つまり、2回目と3回目のSampling PointのタイミングでCC信号が出力されないため、カメラから出力される画像データが3ラインではなく1ラインとなります。
なお、以下のようにAIPTool上でEncoder Frequencyにエンコーダの周波数を入力すると、
CycleやSampling Intervalの設定値が適切かどうか判断することができます。
もし、適切な値では無い場合、問題のある設定項目が赤く塗りつぶされます。
[原因4]:CC信号の周期が速すぎる場合Sampling PointやCycleを適正な値に設定した場合でも、カメラのスキャンレートを超えてCC信号を入力してしまうとカメラがCC信号を無視してしまいます。
つまり、ライン抜けが発生してしまうことになるため、撮像画像が縮みます。
回避方法としては、以下の2択となります。
・現在使用しているカメラよりスキャンレートが速いカメラを使用する
・被写体の搬送速度を落とす(エンコーダの周波数を落とす)
・露光時間を現在よりも短い時間にする ※
[原因5]を参照ください。
[原因5]:露光時間が長すぎる場合(CC信号のパルス幅が長すぎる場合)カメラの露光時間が長すぎる場合、カメラが露光中に次のCC信号を受けてしてしまう可能性があります。
基本的にカメラが露光中のタイミングにおいて、次のCC信号を受けることができません。
この場合、カメラが受けたCC信号を無視するためライン抜けが発生するため撮像画像が縮みます。
回避方法としては、以下の2択となります。
・被写体の搬送速度を落とす(エンコーダの周波数を落とす)
・露光時間を現在よりも短い時間にする(※)
※カメラの露光モードがCC信号のパルス幅を基準としている場合は、CC信号のパルス幅(Exposure)の値を小さくしてください。
なお、以下リンク先にエンコーダを使用した撮像のヒントがございますのでご活用ください。